今回は、日本語教室「日本語を話す会」代表の原田浩さんに、これまでの国際交流活動や日本語教室の運営についてお話を伺いました。原田さんは、2024年3月16日にいそご多文化共生ラウンジにて、日本で働く外国人の方向けに「働きたい人に贈る社会で役立つマナー講座」を開催するなど、多岐にわたる活動をされています。

学生時代から抱いていた国際交流への思い
原田さんは英語を使う仕事や海外駐在経験がある訳ではなかったものの、学生時代から英語や国際交流に関心があり、リタイア後は何か国際交流に関係する活動をしてみたいと考えていたそうです。そして仕事を引退した後、観光通訳ガイドに登録し三渓園で通訳を経験したり、磯子区役所2階にあった磯子国際交流コーナーで、ボランティアとして外国人のサポートをしたりするようになります。
市民活動の助成金の案内がきっかけ
あるとき、磯子国際交流コーナーに、横浜市社会福祉協議会が実施する助成金の案内が送られてきました。ボランティアの間で何かやってみようかという話になったものの、具体的に申し込みをする人は現れません。そこで、地域の日本語教室でのボランティア経験や勉強会に参加していたこともあった原田さんは、「では、日本語教室の立ち上げで助成金を申請してみます」と手をあげ、自ら申し込みをしたそうです。その後、磯子区役所主催の日本語ボランティア養成講座(全3回)を受講し、2012年4月「日本語を話す会」を立ち上げ、国際交流コーナーのボランティア2人と日本語教室を始めました。
コロナ禍で休止、2023年5月に再開
2014年頃には、日本語ボランティア養成講座に参加した方が4~5人ボランティアとして参加するようになり、学習者も増え盛況だったそうです。状況が変わったのは2019年暮れの新型コロナウイルス感染症の拡大からでした。家族に医療関係者がいたこともあり、日本語教室を休止することになります。そして3年のブランクを経て、2023年5月に日本語教室の活動を再開します。
2023年10月現在のボランティアは原田さんと京家寛司さんの2人。学習者は中国、ベトナム、ロシア、ケニア、ジンバブエなどの出身の方々が11人です。
勉強熱心な学習者
「日本語を話す会」を訪れた日は、日本語を話せる中上級レベルの学習者が4人と、来日間もない初心者の学習者が2人、2つのグループに分かれて学習していました。中上級レベルの学習者の一人は、来て早々に「泥だらけと泥まみれの違いはなんですか?」と質問をします。すると原田さんは、辞書を確認しながら微妙な表現の違いや文例を丁寧に伝えます。周りの学習者からも、「こんな違いなんじゃないか」「こんなときは、こう言うよね」といった意見が出て、議論が盛り上がっていました。
一方、初心者クラスでは、2人の学習者と京家さんが、「○○しません」という否定文の意味を、英語で確認していました。まだ日本語に慣れていない学習者に、もう一人の学習者が英語でフォローしています。お互いの母語が違っても、共通言語として英語が話せることが、理解を助けている場面を垣間見ることができました。

話し合いの場が面白い
現在、日本語ボランティアが少ないことから、グループ学習を中心に行っているなかで、どのように学習を進めているのか伺いました。団体がもっているテキスト以外に、図書館にある学習教材や朝日新聞に毎週日曜日に掲載されている「学びの場天声人語漢字ドリル」などを取り入れたりと工夫をしているそうです。
「スマホや辞書を使わずに文章を読んで、どういうことかを説明してもらっています。重要な部分は、書き留めて発表し合い、みんなで理解する。この話し合いの場にもっていくところが、おもしろい。天声人語で1時間くらい話ができます」と、教えてくれました。

学習以外にも伝えたいことがある
そういったときに、心がけていることを聞いてみると、「ゆっくり日本語を話すこと」といった学習のことだけでなく、日本人が普通だと思っていることを伝えて、理解できるようにしていきたいと教えてくれました。例えば、時間や約束を守ること。教室を休む、開始時間に間に合わない、このような時は連絡をするといったこと。そういった行動を見て、日本人はその人を信頼したり残念に思ったりしていることを知ってもらえると、ほかの場所でもコミュニケーションが取りやすくなるのではないかと考えているといいます。
「日本語教室は学校とは違うので、学習者が日本語のわからないところをボランティアに尋ねて理解をしていく。ボランティアは、自分のもっている知識を使ってその質問に応える。その上で、日本の生活習慣などを伝えられる場だと思っている」と、話してくれました。

まずは、ボランティアを体験してみる
ボランティアに興味がある方へのメッセージをお願いすると、「ボランティアを続けるには、時間があるなどいろいろ条件が揃う必要があると思いますが、まずは2~3回体験してみていただきたい」と話してくれました。
日本語を話す会
ウェブサイト:https://www2.hp-ez.com/hp/nihongowohanasukai/page1(外部リンク)
日時:毎週土曜日
時間:15:00~17:00
費用:200円/回
場所:磯子センター5階 横浜市磯子区社会福祉協議会
(Google Map:https://maps.app.goo.gl/674FGE9ajxrnLtPFA)

ボランティア募集中:外国人の方の日本語学習をサポートするボランティアを募集しています。詳しくは、ホームページからお問い合わせください。
日本語教室・学習支援教室インタビュー
いそご多文化共生ラウンジでは、日本語教室・学習支援教室を取材し活動されている方へのインタビューを行っています。日本語教室に興味をもっている人に、教室の様子やボランティア活動をされている方々のことを知ってもらう機会にと思っています。ぜひ、お読みいただけたらと思います。
第1回 多文化共生スポットワールドキッズ
第2回 日本語を楽しむ会
第3回 磯子日本語の会 夜の会話サロン
第4回 日本語を話す会