
磯子区役所7階のフリースペースで毎週水曜日午後1時半から開かれている、外国人向け日本語教室「日本語を楽しむ会」。活気あふれる会の様子を見学させていただき、代表の加藤恵美子さんにお話をうかがいました。
活気あふれる「日本語を楽しむ会」の様子
この日は、フィリピン、インド、ベトナム、中国、香港出身の6人の学習者が参加していました。学習は、ボランティアと学習者が並んだり向かい合ったりして1対1で進みます。学習者は20代以上の現役世代で、その日本語力は来日したばかりでまったく話せない”ゼロビギナー”から、日本語能力検定試験の上位レベルの受験を目指す人まで幅広いのが特徴です。使用する教材はオリジナルの「にほんご」というテキストのほか、学習者のレベルに合わせたプリントを臨機応変に使用しています。


学習者の興味を 教室でも広げたい
2023年10月に来日した中国出身の20代の女性はインターネットで「日本語を楽しむ会」の存在を知り、2024年5月から参加するようになりました。半年がたち、日本語でずいぶんと意思の疎通ができるようになってきています。将来の目標を尋ねたところ、「動物のお世話をする仕事がしたい」と答えてくれました。

すると早速、隣に座っていた加藤さんが、大きな地図を2枚机の上に広げて、市立金沢動物園や野毛山動物園、よこはま動物園ズーラシアなど横浜市内の動物園を簡単な日本語で紹介し始めました。それまでおとなしかった学習者さんの表情がぱっと明るくなります。「できるだけ学習者がもっている興味を広げてあげたいんです」と加藤さん。
打ちのめされた 日本語の奥深さ
「日本語を楽しむ会」を運営する9人のボランティアの代表を務める加藤さんが日本語ボランティアを始めたきっかけは、1999年に横浜市社会教育コーナーを会場に開催された「日本語ボランティア養成講座」を受講したことでした。
当時、英語に興味のあった加藤さんは「英語を使って外国人とコミュニケーションがとれるようになるかも」と思い、全20回の講座を受けました。初めは軽い気持ちでの参加でしたが、徐々に日本語の奥深さに気づきます。「日本語のあまりの難しさ、奥深さを知り、日本語を教えるって簡単なことじゃないんだと痛いほど分かりました」。以来、「今でも毎日が勉強です」と加藤さん。
有志5人で日本語教室を設立
加藤さんは、日本語ボランティア養成講座で共に学んだ有志5人で立ち上げた日本語教室「磯子日本語の会」に参加し、浜小学校コミュニティハウスで活動を始めます。そのとき代表を務めていた方が長期間海外へ行くことになったことをきっかけに、2005年9月、新たに「日本語を楽しむ会」と名称を変更し、磯子区役所を拠点とした活動を始めることとなりました。
「日本語を楽しむ会」の特徴
現在、「日本語を楽しむ会」のボランティアは主婦やリタイア後の男性など9人。学習者と支援するボランティアの組み合わせが毎回変わることが、「日本語を楽しむ会」の特徴です。「いろいろなタイプの日本人と接する方が生徒にとっても刺激になると思います」と加藤さん。
1時間半の学習が終わるとその日担当した学習者の日本語レベルや課題についてボランティア全員で共有します。この情報共有は30分から1時間くらい行われていて、学習者を「日本語を楽しむ会」全体で支えることにつながっています。


また、通常の教室の際には学習者同士がゆっくり交流をする時間がとれないこともあり、クリスマス会やお花見、みなとみらいの「カップヌードルミュージアム 横浜」への遠足などレクリエーションにも力を入れています。

学習者の自立が何よりの喜び
加藤さんが25年間、日本語教室に関わり続けて一番うれしかったのは、卒業した学習者が出産し、教室に双子の赤ちゃんの顔を見せに来てくれたことだそうです。
「学習者が巣立って、自立していく姿を見ることが何よりの喜びなんです。」
加藤さんにこれからボランティアをしてみようかな、と迷っている人に一言、とお願いすると、「ボランティアを始めると、出会いもあれば別れもあります。学習者から知らない文化を教わることは楽しく、生きる糧になります。初めての方でもぜひ気軽に見学に来てくださいね」と話してくれました。

日本語を楽しむ会
ウェブサイト:https://isogojp.wixsite.com/nihongo(外部リンク)
日時:毎週水曜日
時間:13:30~15:00
費用:100円/回
場所:磯子区役所7階 いそご区民活動支援センター
(Google Map:https://maps.app.goo.gl/uaYkzVSkc8TeKM398)

ボランティア募集中:外国人の方の日本語学習をサポートするボランティアを募集しています。詳しくは、ホームページからお問い合わせください。
日本語教室・学習支援教室インタビュー
いそご多文化共生ラウンジでは、日本語教室・学習支援教室を取材し活動されている方へのインタビューを行っています。日本語教室に興味をもっている人に、教室の様子やボランティア活動をされている方々のことを知ってもらう機会にと思っています。ぜひ、お読みいただけたらと思います。
第1回 多文化共生スポットワールドキッズ
第2回 日本語を楽しむ会
第3回 磯子日本語の会 夜の会話サロン
第4回 日本語を話す会